象嵌とは
象嵌とは、ボタンの表面に異なる素材や色のパーツをはめ込み、模様や意匠を表した装飾的なボタンの加工・仕上げです。
定義と概要
象嵌は、土台となるボタンの表面に別素材または異色のパーツを埋め込む加工です。素材の質感や色の対比を利用して、幾何学模様、花柄、紋章風などの意匠を表現します。象嵌は素材名ではなく、表面装飾の方法を示す呼び方です。
ボタンでは、はめ込んだパーツが表面とおおむね平らに仕上がるもののほか、わずかな段差や輪郭を意匠として見せるものもあります。仕上がりは土台と埋め込み材の組み合わせ、固定方法、表面研磨の程度によって異なります。
素材と構造
土台には樹脂、貝、木、金属などが用いられ、象嵌部分にも異なる素材や色材が使われます。ただし、象嵌という名称だけでは土台・埋め込み材ともに特定できないため、発注時は素材構成と表面の仕上がりを確認します。
穴や足の形は象嵌の条件ではありません。二つ穴、四つ穴、猫目などの表穴仕様のほか、裏面に足を設けた足つき仕様にもできます。穴周囲や足の付け根に象嵌部分がかからない設計かを確認すると、縫製時の欠けや割れを抑えやすくなります。
- 表穴仕様は、穴位置と象嵌模様の向きを合わせて確認します。
- 足つき仕様は、足の材質、取り付け強度、厚みを確認します。
- 異素材の組み合わせでは、熱や洗剤に対する反応が一様でない場合があります。
サイズの表し方と主な用途
ボタンのサイズは一般に直径をmmまたはリーニュで表します。リーニュはボタン用の慣用単位であり、仕様書ではリーニュ表記だけでなくmm寸法も併記すると、認識違いを防ぎやすくなります。厚み、足の高さ、穴寸も着用感と縫製性に関わります。
象嵌ボタンは、ジャケット、カーディガン、シャツ、ブラウス、ワンピース、コートなどで、前あきや袖口のアクセントとして用いられます。柄の方向性があるものは、前立てや左右の身頃で向きをそろえる必要があります。
付け方と取り扱いの注意
表穴ボタンは、穴に合わせてクロス付けまたは平行付けを行い、糸足を適度に確保して根巻きします。ボタンが厚い場合や表面に段差がある場合は、生地との間隔が不足すると開閉時に生地を傷めるため、糸足の高さを調整します。
洗濯、ドライクリーニング、アイロンへの耐性は、象嵌加工そのものでは判断できません。高温、強い衝撃、摩擦、薬剤により、埋め込み部の欠け、浮き、割れ、変色が生じることがあります。製品化前に実際の副資材を付けた状態で、予定するケア方法の試験を行うことが重要です。
アイロンはボタンに直接当てず、当て布を用いるかボタンを避けてかけます。特に熱に弱い樹脂や接着を併用した構造では、熱による変形や接着力低下に注意が必要です。洗濯時の打撃を抑えるため、製品を裏返す、ネットを使用するなどの配慮も有効です。
似ている用語との違い
象嵌は、異なる素材や色のパーツをはめ込んで意匠を作る加工です。刻印は表面を押して文字や模様を凹凸で表す加工であり、通常は別パーツを埋め込みません。七宝は釉薬などを焼成して色面を表す装飾を指し、象嵌とは工程と見え方が異なります。
コンビボタンは複数の素材や部品を組み合わせたボタン全般を指すことがあり、象嵌を含む場合があります。一方で、部品を重ねたり接合しただけの構造は、表面にはめ込む象嵌とは区別して扱います。
よくある質問
象嵌ボタンは洗濯できますか。
洗濯可否は土台、埋め込み材、固定方法によって異なるため、象嵌ボタンという名称だけでは判断できません。水洗い、ドライクリーニング、タンブル乾燥の可否を個別に確認し、量産前には実際の製品仕様で耐洗濯性を確認します。
象嵌ボタンのサイズはどのように指定しますか。
象嵌ボタンは刻印ボタンとどう違いますか。
象嵌ボタンは、別素材や異色のパーツを表面にはめ込んで模様を作ります。刻印ボタンは、押し型などで表面に凹凸を付けて意匠を表すものです。両方の加工を組み合わせた仕様もあるため、現物見本で確認します。





