気密ファスナーとは
気密ファスナーとは、閉じた状態で空気や水の通過を抑える密閉性を備え、ドライスーツなどに用いる特殊なファスナーです。
定義と概要
気密ファスナーは、ファスナーを閉じた部分から空気や水が通ることを抑えるための開閉部品です。衣服では主にドライスーツや防護性が求められる装備に用いられ、一般的な衣料用ファスナーより高い密閉性を目的とします。
気密は、製品全体が完全に密閉されることを単独で保証する表示ではありません。ファスナーの性能に加え、生地、縫い目、接合部、着用時の状態を含めて、完成品としての気密性や防水性を確認する必要があります。
構造と部品
基本的には務歯、務歯をかみ合わせるスライダー、端部を固定する止め、取り付け用のファスナーテープで構成されます。気密ファスナーでは、かみ合わせ部やテープ部に密閉性を得るための形状や被覆が設けられるものがあります。
仕様によっては、務歯が見える構造と、シール部を主体とする構造があります。スライダーは確実に端まで動かして初めて所定の密閉状態になりやすいため、引手の操作性やスライダーの位置も設計上の重要な点です。
- 務歯:左右をかみ合わせて開閉部をつくる部品です。
- スライダー:務歯やシール部を開閉する部品です。
- 止め:スライダーの抜けや開き過ぎを防ぐ端部の部品です。
- ファスナーテープ:製品本体へ取り付けるための帯状部分です。
種類と仕様
選定時は、要求される密閉性能、務歯またはシール部の大きさ、長さ、開き方、スライダーの向き、テープ幅を確認します。ドライスーツ用では、着脱のために大きく開く長さや、身体の動きに対応する取り付け位置が特に重要です。
端部の仕様には、下止で終わるクローズタイプと、開具によって左右を分離できるオープンタイプがあります。また、両側から操作する仕様や、二つのスライダーを用いる仕様もあります。気密性を必要とする用途では、開閉方向や端部の納まりが密閉性に影響します。
主な用途
代表的な用途は、着用者の身体を水から保護するドライスーツです。このほか、空気や水の侵入を抑える必要がある保護装備、特殊用途のバッグやカバー類にも使用されます。用途ごとに必要な密閉の程度、耐久性、屈曲性は異なります。
通常のアウターやバッグで雨の侵入を抑える目的なら、止水ファスナーが検討されることがあります。ただし、気密ファスナーは着脱部を密閉することを主目的とするため、求める性能と使用条件に応じて使い分けます。
選び方と注意点
縫製では、針穴が密閉性を損なうおそれがあります。テープの縫い付けだけでなく、縫い目をシームテープで覆う方法や、接着などの指定された取り付け方法を確認してください。薄い生地や伸縮性の高い生地では、波打ち、引きつれ、テープの剥がれにも注意が必要です。
洗濯、保管、開閉の扱いは、ファスナーごとの取扱説明に従います。砂や塩分などの異物がシール部に付着すると密閉性や操作性に影響するため、使用後は汚れを落とし、無理に折り曲げずに保管します。潤滑剤の使用可否も仕様により異なります。
長さは、一般的なファスナーのように上端から下端までの有効長で示される場合がありますが、端部構造によって測定基準が異なります。発注時は、完成寸法だけでなく、図面上の基準点、左右の向き、開閉方向、必要な縫い代を仕様書で明確にします。
似ている用語との違い
止水ファスナーは、テープ表面のコーティングや務歯の重なりなどにより、水の侵入を抑えるファスナーです。雨やしぶきへの対応を目的とすることが多く、気密性を目的としたファスナーとは要求性能や用途が異なります。
防水透湿素材は生地自体の水の侵入を抑えつつ湿気を逃がす機能を指します。一方、気密ファスナーは開閉部の部品です。防水透湿素材を使っても、縫い目やファスナー部の処理が適切でなければ、製品全体の防水性・気密性は確保できません。
よくある質問
気密ファスナーと止水ファスナーは同じですか。
同じではありません。止水ファスナーは雨や水しぶきの侵入を抑えることを主な目的とするのに対し、気密ファスナーは空気や水の通過をより抑える密閉用途に用いられます。必要な性能、取り付け方法、完成品での試験条件を分けて確認します。
気密ファスナーは普通のミシンで縫い付けられますか。
気密ファスナーの長さはどのように指定しますか。
必要な開口寸法を基に指定しますが、端部や開具を含めるかは製品仕様によって異なります。単に長さだけを伝えず、基準点を示した仕様図、左右の向き、スライダー位置、完成品への取り付け位置を併記すると認識違いを防げます。





