コンシールファスナーとは
コンシールファスナーとは、閉じたときに務歯とテープの大部分が表側から見えにくく、縫い目のようにすっきり仕上がるクローズ仕様のファスナーです。
定義と概要
コンシールファスナーは、務歯をテープの裏側に配置し、ファスナーを閉じた際に表側から務歯が見えにくくなるよう設計されたファスナーです。表地の柄やドレープを妨げにくく、開きの存在を目立たせたくない箇所に用います。
一般的なコイルファスナーと同様に、務歯をかみ合わせて開閉します。ただし、通常のファスナーのように務歯を表側へ見せる使い方とは、構造の向きと縫製方法が異なります。
構造と部品
主な部品は、連続した務歯、務歯を支えるファスナーテープ、開閉するスライダー、上端を固定する上止、下端を固定する下止です。務歯はテープの裏側に巻き込まれる形状で、表側から隠れやすくなっています。
多くの場合は下端が固定されたクローズファスナーです。開具を使って左右を完全に分離するオープンファスナーとは用途が異なり、前開きのアウターなど、開き全体を分離したい箇所には通常用いません。
- 務歯:左右をかみ合わせる連続部品です。
- スライダー:務歯を開閉させる部品です。
- 上止・下止:スライダーがテープ端から抜けるのを防ぐ部品です。
- ファスナーテープ:生地へ縫い付ける布状の部分です。
種類と仕様
仕様を選ぶ際は、務歯サイズ、製品長さ、テープ色、スライダーの形状を確認します。務歯サイズが小さいほど繊細な外観になりやすい一方で、生地の厚みや開閉時の負荷との適合を検討する必要があります。
長さは、一般的に上止から下止までの務歯が機能する長さで示され、テープ全長とは異なる場合があります。縫い込み位置や上端の始末に必要な余裕を含め、パターン上の開き寸法と仕様書の指示を照合します。
- 務歯サイズ:生地の厚み、開閉頻度、見え方に合わせます。
- 長さ:上止から下止までの表示基準を確認します。
- 止めの種類:多くは下止のあるクローズ仕様です。
- 色:表地だけでなく、縫い代側から見えるテープ色も確認します。
主な用途
スカート、ワンピース、ドレスの脇線・後ろ中心、ブラウスなど、表面をすっきり見せたい衣料に使われます。薄地から中肉の生地で用いられることが多く、装飾性のある生地や柄物でも開き部分を目立たせにくい点が特徴です。
ただし、厚地、硬い生地、強い張力が継続してかかる部位では、開閉のしにくさや務歯への負荷につながることがあります。使用部位の曲線、縫い代の厚み、着脱時の力を試作で確認することが大切です。
選び方と縫製上の注意点
生地の厚み、伸縮性、目付、開きの長さに対して、務歯サイズとテープのしなやかさを選びます。伸びやすい生地では、開き端が伸びて波打たないよう、必要に応じて伸び止めテープなどで縫い代を安定させます。
縫製では、専用のコンシールファスナー押えを使い、務歯を起こしてその際を縫うと、閉じたときに務歯が隠れやすくなります。左右の上端位置、縫い止まり、開き止まりを正確に合わせ、事前に仮止めして確認します。
縫製後はスライダーを複数回動かし、縫い込み、引っ掛かり、左右の段差を点検します。洗濯時はファスナーを閉じ、他の製品との絡みを避けます。アイロンは務歯やスライダーへ直接強く当てず、素材に合う温度で当て布を用います。
似ている用語との違い
コイルファスナーは、コイル状の務歯を使うファスナー全般を指します。コンシールファスナーは、そのうち務歯を裏側に配置して見えにくくした形状・用途のものです。したがって、コンシールファスナーはコイルファスナーの一種として扱われることがあります。
隠しファスナーは、広くは比翼や持ち出し、玉縁などでファスナー自体を覆って見えなくする仕様も指します。コンシールファスナーはファスナー単体の構造で務歯を見えにくくする点に違いがあります。
よくある質問
コンシールファスナーの長さはどこを測ればよいですか?
一般的には、上止から下止までの務歯が開閉する部分の長さを確認します。テープは止めより上下に余分があるため、テープ全長だけで判断しません。パターンの開き寸法、上端始末に必要な余裕、下端の縫い止まり位置を合わせて選定します。
コンシールファスナーは普通のファスナー押えで縫えますか?
普通のファスナー押えでも縫製はできますが、務歯を十分に起こして際まで縫いにくく、閉じた際に務歯が見えやすくなることがあります。安定した仕上がりを求める場合は、務歯を案内する溝を持つ専用押えを使い、試し縫いで位置を調整します。
伸縮性のある生地にコンシールファスナーを付ける注意点は何ですか?
開き端だけが伸びると波打ち、左右の長さずれや開閉不良の原因になります。縫い代を伸ばさないように扱い、必要に応じて伸び止めテープで安定させます。表地の伸縮性とファスナーテープの伸びの差を、裁断前または試作時に確認することが重要です。





