八掛とは
八掛とは、袷仕立ての着物で裾から腰まわりに用いる裏地のことで、裾の保護、歩行時の滑り、着姿に見える色彩の演出を担う部分です。
定義と使う部位
八掛は、主に袷仕立ての着物の下半身側に付ける裏地です。裾から前身頃、後身頃、脇にかけて配置され、着用時には裾の内側や足さばきに伴って表側からも一部が見えます。
八掛は部位名であり、素材名や織組織名ではありません。一般に身頃上部の裏地である胴裏とつなげて仕立てますが、胴裏とは受け持つ部位と求められる機能が異なります。
役割と着姿への影響
八掛は表地の裾まわりを内側から補い、歩行時などに生じる摩擦を受けます。また、表地と長襦袢などの間で滑りをつくり、裾さばきを整える役割があります。
表地の色や柄に対する八掛の色は、着物を動かした際の印象を左右します。表地と同系色にして落ち着かせる場合もあれば、配色で裾に変化を付ける場合もあります。
素材と種類
八掛には絹をはじめ、ポリエステルなどの裏地が用いられます。無地のほか、ぼかしや柄のあるものもあり、用途、表地の格、手入れ方法、求める見え方に応じて選ばれます。
素材を選ぶ際は、見た目だけでなく、表面の滑り、厚み、落ち感、静電気の起こりやすさ、洗濯やクリーニングへの適性を確認します。表地と裏地で収縮や伸びの差が大きいと、仕立て後のつれにつながることがあります。
選び方と注意点
表地が薄い色や透け感のある生地の場合、八掛の色、柄、光沢が表側に影響することがあります。表地越しの見え方を試し、必要に応じて控えめな色調や透けにくい組み合わせを検討します。
表地がしなやかな場合は、八掛だけが硬すぎたり重すぎたりしないようにします。反対に、八掛が軽すぎたり滑りすぎたりすると、表地とのなじみや着用感が変わるため、重ねた状態でドレープと滑りを確認することが大切です。
縫製上の注意
八掛は表地の裾線に沿って縫い合わせるため、裁断時から地の目と柄の方向をそろえることが重要です。表地と八掛の寸法や縫い代の扱いが合わないと、裾の波打ち、つれ、ねじれが目立ちやすくなります。
胴裏との接ぎ位置、脇線、裾角の始末は、表側のシルエットと着用中の動きに影響します。縫製前に素材を落ち着かせ、縫製中は引っ張り過ぎず、アイロンによるアタリや光沢変化にも注意します。
よくある質問
八掛と胴裏の違いは何ですか。
八掛の色は表地と同じにする必要がありますか。
同色にする必要はありません。表地になじませる配色のほか、裾から見える色を意匠として生かす配色もあります。ただし、淡色や透け感のある表地では八掛の色や柄が表側に影響するため、重ねて確認することが重要です。
八掛の素材を選ぶ際に確認することは何ですか。
表地との厚み、落ち感、滑り、伸びや縮み方、手入れ方法を確認します。表地と八掛の性質が大きく異なると、裾のつれや着用時の違和感につながることがあります。試し縫いや重ね見本での確認が有効です。





