箱ポケットとは
箱ポケットとは、身頃などに切り込みを入れ、口布で長方形の口を整えて袋布を付ける、主にジャケットやパンツに用いられるすっきりした仕立てのポケットです。
目次7項目
定義と概要
箱ポケットは、表地にポケット口となる切り込みを作り、その口元に細い口布を見せて構成する切りポケットの一種です。口元が直線的で箱形に見えることから、この名称で呼ばれます。
使う部位と役割
ジャケットの腰ポケットや胸ポケット、パンツの後ろポケットなどに用いられます。ポケット口の縫い代や袋布を内側へ収められるため、表面が平らに仕上がり、端正でフォーマルな印象を作れます。
袋布は物を収納する役割を持ち、口布はポケット口の輪郭を整え、切り込み部分を補強する役割も担います。ポケット口の両端には、負荷によるほつれや裂けを防ぐため、閂止めを施すことがあります。
素材と種類
袋布には、滑りがよくかさばりにくいスレキが多く使われます。表から見える口布や向こう布には表地を使うことが多く、見た目の統一感を保ちながら、ポケット口の強度と形状を支えます。
口元に見える細い布が片側のみのものは、一般に片玉縁ポケットとも呼ばれます。両側に玉縁を設ける両玉縁ポケット、フラップを加えたフラップポケットなどは、構造と外観が異なる種類です。
- 袋布:収納部を作る内側の布です。
- 口布:ポケット口に見える細い布です。
- 向こう布:袋布のうち、着用時に表地側へ向く部分に付ける表地または別布です。
主な用途
箱ポケットは、すっきりした外観が求められるテーラードジャケット、スラックス、ベスト、制服などでよく用いられます。カジュアル衣料でも、パッチポケットより凹凸を抑えたいデザインに適しています。
胸元や腰回りに使う場合は、ポケット口の幅、位置、角度によって見え方が大きく変わります。仕様書では、口布の仕上がり幅、袋布の深さ、閂止めの有無などを明確に指示することが重要です。
選び方と縫製上の注意
表地が薄い、伸びやすい、またはほつれやすい場合は、ポケット口の裏側に接着芯などを用いて伸び止めと補強を行います。芯の硬さや接着条件が合わないと、口元の浮き、アタリ、硬さにつながるため、事前の試作確認が必要です。
縫製では、口布の幅を均一に保ち、切り込みの止まり位置を正確に管理します。切り込みが不足すると角が返らず、切り込み過多では縫い目を切るおそれがあります。左右の高さ、口幅、角の直角性も検品で確認します。
袋布には収納物による摩擦や引っ張りが加わります。用途に応じて強度、滑り性、厚みを確認し、表地との色差や、淡色表地への透け・色移りも考慮して選びます。
似ている用語との違い
玉縁ポケットは、ポケット口を玉縁で縁取る切りポケットの総称として使われることがあります。箱ポケットはそのうち、片側の口布によって直線的な口元を作る仕様を指す場合が多く、呼び方には現場差があります。
パッチポケットは、袋状の布を身頃の表面に縫い付けるポケットです。これに対して箱ポケットは袋布が内側に入るため表面の凹凸が少なく、縫製工程と必要な補強方法も異なります。
よくある質問
箱ポケットと両玉縁ポケットの違いは何ですか。
箱ポケットの袋布にスレキを使う理由は何ですか。
スレキは一般に、ポケット袋布として必要な強度を持ち、比較的薄くて滑りがよい生地です。収納物の出し入れをしやすく、表地の厚みを増やしにくい利点があります。表地が薄い場合は、袋布の色や厚みによる透けも事前に確認します。
箱ポケットで起こりやすい縫製不良は何ですか。
口布の幅のばらつき、口元の波打ち、角の返り不足、左右の位置ずれなどが起こりやすい不良です。ポケット口への芯貼り、正確な切り込み、プレスによる形状整理が重要になります。量産前に表地と芯、袋布を組み合わせた試作で仕上がりを確認します。





